賃貸オフィスの契約期間や更新料について解説
賃貸オフィスを契約する際、立地や内装はもちろん重要ですが、契約期間や更新料の規定にも気を配らなければなりません。しかし賃貸オフィスの契約形態にはいくつかの種類があり、少々ややこしくなっています。更新料に対しても法律で定められていない分、どのように対応したらよいのかわからない方もいるでしょう。
そこで本記事では、賃貸オフィスの契約期間や更新料を詳しく解説します。貸主とのトラブルを避けるためにも、本記事の内容を念頭に置いて賃貸オフィスを契約しましょう。
✅賃貸オフィス契約の契約期間
賃貸オフィス契約の契約期間は、契約形態により異なります。主な契約形態は、普通借家契約と定期建物賃貸借契約の2つです。
それぞれの契約形態で、契約期間がどのように定められているのか見ていきましょう。
①普通借家契約
普通借家契約とは、1〜2年ごとに契約を更新する契約形態を指す場合が多いです。貸主・借主の双方からの要求がなければ、契約は自動的に更新されるのが一般的です。
普通借家契約では、契約期間が定められている場合、貸主側の都合で解約、もしくは更新を拒否するには、正当事由が必要です。また正当な理由があるとしても、貸主は更新しない旨の通知を、1年前から半年前までの間にしなければなりません。このことは借地借家法第二十六条にて定められています。
一方で借主側からの中途解約は、借主の都合で自由にできます。ただし中途解約に伴う特約が定められていれば別途手数料が必要となるケースもあるので、契約書は入念に確認しておきましょう。
なお契約期間を1年未満とした、もしくは契約期間を定めなかった場合、借地借家法第二十九条と民法第六百十七条に基づき、貸主・借主の各当事者は、いつでも解約の申し入れができるとされています。これについて民法第六百十七条では、建物の賃貸借は3カ月前には解約の通知をするよう定めているので、前もって伝えておきましょう。
出典:e-GOV.「借地借家法」.
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090,(参照 2023-04-27).
出典:e-GOV.「民法」.
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089,(参照 2023-04-27).
②定期建物賃貸借契約
定期建物賃貸借契約とは、賃貸借期間が満了したら契約も同時に終了する契約形態です。原則契約に更新はなく、契約期間満了に伴い契約が終了することを定めた書類が交付されます。契約を更新したい際は、新たに契約を締結します。普通借家契約と異なり、更新ができず立ち退きを命じられるケースもあるので注意しましょう。
定期建物賃貸借契約は契約期間の取り決めがなく、貸主・借主の双方の合意で設定可能です。数カ月単位の短い契約もできます。
定期建物賃貸借契約は、原則として途中解約が不可能です。ただし契約書で途中解約の特約を定めている場合は、その限りではありません。残りの契約期間分の賃料が請求されるケースがあるので、契約書の特約を定めた箇所を見ておきましょう。
✅賃貸オフィスの更新料
賃貸オフィスの契約更新(再契約)に伴い、借主は貸主に更新料を支払うケースがあります。民法で更新料の支払いを定めている条文はなく、更新料の支払いは慣習となっています。
このように更新料の支払いは義務化されていないため、なぜ払わなければならないのか疑問に思っている方もいるでしょう。以下の理由から、更新料の支払いが必要となります。
● 貸主の利益に貢献するため
● 借主と貸主の双方の関係性を良好にするため
先述したように、更新料の支払いは義務化されているものではありません。しかし、契約書に更新料を支払うよう明記され、それに同意して契約した場合は、更新料は支払うようにしましょう。更新料は貸主の収入源であり、支払いを免除するよう交渉しても失敗するか、関係に溝が生まれる可能性があります。
更新料を支払いたくない場合は、契約の際に更新料を定めた箇所を双方で調整するか、そもそも更新料を支払う必要のない賃貸オフィスを契約しましょう。
続いては、賃貸オフィスの更新料の相場や注意点を見ていきます。
①更新料の相場
賃貸オフィスの更新料は、一般的に賃料1カ月分が設定されるケースが多いです。しかし、これは民法ではっきりと決められている金額ではありません。あくまでも目安のため、契約によりばらつきがあります。
更新料が賃料1カ月分に設定されている場合は、家賃の値上がりに伴い高くなる可能性もあります。
契約前や更新前に契約をしっかりと見直し、更新料についてどのように規定されているか確認しておきましょう。後のトラブルを避けるためにも、疑問点があればその場で解決するのが大切です。
②更新の注意点
普通借家契約と定期建物賃貸借契約の場合で、更新の考え方が異なるので注意が必要です。
普通借家契約は、正当な事由がない限り、貸主が契約更新を拒否することはできません。更新方法は、以下の3つに分類できます。
更新形態 特徴
法定更新 : 貸主に正当事由がないため、契約が更新される
合意更新 : 双方のいずれかが条件の変更を申し出て、合意のもと契約が更新される
自動更新 : 契約満了後、自動的に同じ契約内容で契約が更新される。法定更新に分類されることもある
一方で、定期建物賃貸借契約には契約更新の概念がありません。そのため更新料がかかることはありませんが、再契約料の名目で費用がかかるケースがあります。
まとめ
賃貸オフィスの契約期間は、普通借家契約か定期建物賃貸借契約によって異なります。ご自身が契約するのがどれに該当するのか、事前に確認しておきましょう。
また契約を更新する際は、貸主との規定に基づき更新料を支払う必要があります。相場は家賃1カ月分だとされていますが、民法で支払いが義務付けられている訳ではありません。しかし貸主との関係を良好に保つためにも、契約書に規定が記されているなら、しっかり支払いましょう。
ビルネクストは、オフィス探しから構築までワンストップでサポートしています。賃貸オフィスの契約期間でお困り事があれば、お気軽にお問い合わせください。